『田丸の解説』 第三回



『呼び出されたのは、たまたまです。』の撮影終了後。
田丸大輔は、その日のことを振り返りながら、
解説文を書きました。

読んでみていただければすぐにわかりますが、
えらい長いです。

動画を見ずに、いきなり読んでいただいても大丈夫ですが、
動画を見ていただいた後に、読んだ方が、
より意味がわかるかと思います。

内容は、これまたかなりドギツイですが、
これこそが田丸の文章なのです。
そのため、修正は細かい部分だけにして、
ほぼノーカットで掲載しています。

それでは、どうぞ。


<田丸の解説>

今回はダラダラと長い文章を書くかな。とにかくダラダラ生きようかと思って。人生も文章も長くダラダラ。ダラダラ人生よ。

『呼びたま』も3回目。3回目にして、やっとゲストが女子!女子じゃないな、大人の女ね。色香漂う大人の女。誰、誰って。そりゃ一人しかいないでしょ。あのお方、美しき元田、華麗なる元田の世界をご覧頂こうって。どんだけ身内を持ち上げるんだよって感じなんだけど、不快に思った方はごめんなさいね。ま、美しいかどうかはね、美的感覚ってのがあるから。天然工房ではセクシーと言う言葉をほしいままにしてるからさ。

じゃ他の女優人はどうなのよって思うでしょうけど。いないねセクシーは。皆乾いちゃってサハラ砂漠よりカラカラ。一緒にいると干からびて死にそうなるからね、水は手放せないよ。で、あくまでも本人発信なんだけど、私、今日から「セクシーおばさん」になるって突然言い出して、気でも狂ったかと思ったんだけど、皆「オォー」とどよめいて、つか、実際は、はぁっー?ってなもんよ。そのうち劇団員からも、「よっ!セクシーおばさん」なんて言われるようになってね。で、それを家に帰って、元田が家族に話したらしいの。そしたら母ちゃんと妹が怒ったって言うんだよ、何なのおばさんて!って。元田家の皆さん、初めに本人が言い出したんですよ。

さて、本題、元田はセクシーで美しくないといけないから、オレ熱く言ったんだ、エリカアンギャルみたいに。撮影日の一ヶ月以上前にさらなる美の追求をと。イメージはアンジェリーナ・ジョリー、ハードルをうんと高くしてね。それでもチョコがやめられない、ニキビがぁやばい、何て言うから、「おい、ふざけるな!チョコ星人。呼びたまを何だと思ってるんだ、これに全てをかけろ、命を燃やせ」と一喝入れてさ。もう血と汗と涙よ。撮影日まで、食事の摂生と運動をして、パーフェクト超人になるんだぁー、だよ。さらに、美の追求だけでなく、もう一つやらなきゃならないものがあって。それが今回のテーマ。音楽。で、元田のボクサーのような戦いが始まったんだ。

元田は得意分野として音楽を選んだわけなんだけど、テレビ番組で「僕らの音楽」ってあるでしょ。それをリスペクトとしたね〜オレは。「元田の音楽」。どうなっちゃうのよって感じでさ、ま、4歳の時に始めたっていうピアノを弾いてもらうことになってね、で聞いたら、もう全くピアノに触ってないっていうんだ何年も。でね、家にピアノがあるっつうから撮影日までオニのように練習してくれと頼んでね。大学でも音楽を勉強してきてるから、やれば感覚が戻るでしょってね。もうそれからは彼女、宮沢賢治の世界よ。雨の日も風の日もって感じで毎日少しでもピアノを触るようにして練習に励んだらしいの。

あとね、「僕らの音楽」っていったらセッションがあるでしょ。必要でしょセッション。で、他に劇団員で楽器が出来るやつがいるかなぁって。いるんだよ、都合のいいヤツが、瀬戸と中西。瀬戸はウクレレ、中西はリコーダー。「よし、君達2人も演奏して。セッションやるから」って言ってね。意外と簡単に引き受けてくれたね。で、ここぞとばかりに、まるで夏の太陽のようにギラギラして言ったんだオレは、「死ぬ気で練習して。半端な気持ちじゃだめだぞ、本気でやれよ」と。撮影日には完璧な仕上がりで臨めよって。だって「元田の音楽」だよ。「僕らの音楽」に勝たないといけない。いやぁしかしさ、やらせるばっかりでしょオレ、実に楽しいんだこれが。というわけで、3人は宮沢賢治の世界の住人になったわけだけども、元田が3人でやる曲決めて楽譜まで用意して、各自猛練習よ。特に元田、撮影日の前日には6時間、当日には5時間練習したっていうんだから。頭が下がるよとかいって、オレね、当日撮影日、遅刻したんだ。信じられる?こんなに人にあれこれ言って、準備させといて。恐ろしいわ。

撮影日12月5日、江古田駅、集合時間17時。当たり前だけど集合時間は厳守でしょ、遅刻にはうるさいからねオレ、だって遅刻なんて人としてどうなのよって感じでしょ。オレはしないよ、したことないからね。だから、体育教官みたいに言ったね、おまえら絶対遅刻すんなよ。気合入れろよ「元田の音楽」をなめんなよって。

そして、当日、オレが江古田駅に着いたのが20時40分、完全に遅刻。遅刻と言う言葉じゃ生ぬるい、だって5分、10分じゃないんだから。しょこたん風にギザ遅刻、マツコ風にチコク・デラックス。あ〜それにしても怖い怖い。思い出すだけでもホント怖い。こんなの見たことないも聞いたこともない。そう、「遅刻の言い訳」しないと。昔さ、誰だかに、言い訳するなって言われたことあるけどさ。オレはするよ、する奴よ。むしろする側よ。まぁ、結論から言うと、寝坊よ。完全に昏睡状態だったんだ。ICUにいて。いやほんと。いきさつはね、12月3日の夜、夜勤があり、その前からもちろんずっと起きてるわけよ、4日は軽井沢に14時に行かないといけないから寝ずに行き、その日はまた夜勤があるので、軽井沢から戻ってそのまま夜勤、ま、新幹線の中では寝ましたけども。4日夜勤明けに忘年会兼送別会があり、5日の朝10時から13時まで飲み。ん、何だこの時系列の説明、全くもってわかりにくい、まとめると、夜勤明け軽井沢行って帰ってきてまた夜勤がありそのまま飲みよ。

でね、この飲みがいけなかった、寝てない身体にアルコール。身を滅ぼすね、アルコールは。でもね、一杯目は乾杯でビール飲んだんだけど、あとは、ウーロン茶にしたの。そりゃそうでしょうよ、だって17時に江古田に行かないといけないから。しかし、ラストオーダーで皆から最後の一杯ぐらい飲みなよって肉食系のごとくグイグイ来るもんだからさぁ、心が弱かったねオレ、気持ちよく飲んじゃった。皆ありがとう、プッファ〜ってなもんで飲み干してね。したら、急に酔いがまわって、眠気が襲ってきて、もう目の前がグラグラなんだよ。ただひたすら眠い。もう帰り道は眠くて眠くて、どこかのエビゾウみたいに死ぬかと思ったから。

家についたのが14時。オレは思った「よし、2時間眠れる」ってね。16時に携帯のアラームをセットして、横になったコンマ何秒かで昏睡状態。で、まじでオレは瞬きしただけなんだ。携帯みたら20時になってた。着信とメールの件数がかなりあり、アラームも鳴ってたという残骸が液晶にあり。「アラーム止めたの誰だよ!」って怒りもしないよ。しかしさ、オレね、どんな状況でも起きる自信があったんだけどさ、それは過信だったね。松坂投手が昔、イチロー選手と対戦したとき、自信が確信に変わりましたということを言ってたけど、オレの場合は自信が過信だったというね。情けない話だよ。

でもさ、目が覚めて20時って数字見たとき、一瞬、その状況が飲み込めないんだよ。わかんないの。あれ、オレ、17時に江古田に行くんだよな?今日だっけ?これは夢?んっ?ん?って感じ。でも、携帯の着信とかが、元田から瀬戸からガンガン来てたの見て、夢じゃないー!って飲み込めたんだけど。でもこれがまた、意外と冷静で、落ち着いちゃってるのオレ。だってどんなに急いでも間に合わないでしょ。集合時間から3時間経ってるのに家にいるんだよ。しかも布団の中。オレタバコ吸わないんだけど、でもその時の心境は、ベランダに出て、(ま、ベランダもないんだけど)夜空でも見ながら一服したかったね。で、「夜空ってこんな大きかったっけ、星ってこんなキレイに輝いてるんだぁ、気づかなかったなぁ」とか言って、星なんか見えやしないのにさ、「じゃボチボチ出かけましょうかね」ってゆったりした感じ、もう完全に現実逃避。

でね、布団に入りながらとりあえず瀬戸の携帯に電話して、「寝てたわりぃっ」て言ってね。したら「寝てたんですか!何してるんですかぁ〜」と。怒ってるというより呆れてたね「あぁ〜(落胆あぁ)たまるさん、あなたという人は...なんて残念な人なんだ」的なニュアンス。で、あとから瀬戸に聞いたんだけど、元田がそれを知った瞬間、「ありえない!」って怒ってたらしいの。顔が阿修羅面の怒りになってたって。髪がだんだん蛇に見えてきて、もうそれはメデューサのようだったって、本気で石にされると思いましたからって言うんだもん。ゾッとしたよ。ま、それだけ心配してくれてたみたいでね、事故にあったんじゃないかとか。ま、オレの中では事故っちゃー事故なんだけど。ほんと悪いことしたよ。ピアノにも影響でちゃったみたいで、心配しながらの演奏だからさ。

んでね、ピアノがある部屋が21時までしか使えないわけさ、21時完全撤収なのね。で、目が覚めたのが20時だからあと1時間で守衛さんがきて追い出されるわけ、オープニングを撮り損ねたらまずいし、ま、近いからギリ間に合うかぐらいには思ってたけど。あとは、向かってる途中、皆に会ったら何て言おうか考えてね、「言い訳」を。よくあるじゃない遅刻の言い訳、向かい風がすげー強かったとか。信号、信号、全て赤信号でさ、とか。でも、いい言い訳が思い浮かばなくてね。考えるの諦めて正直に言うぞと腹をくくったら屁が出ちゃって。人に聞かれるし恥ずかしかったよ。

で、江古田駅に20時40分に着いてうちから近い場所で良かったんだけどさ。中西に駅まで迎えにきてもらって、20時45分にやっと瀬戸と元田と合流できたんだけど。部屋の扉を開けて「寝坊しましたすいません」て入っていったら、元田の顔がそりゃーもう恐ろしくて。上がったばかりの水死体みたいな顔でさ、悪寒が走ったよ。呪われるか殺されるか。もう生きた心地がしなかったよ。あと15分で撤収だから、着いて早々すぐオープニングを撮ってね、もうオレ、寝起きでフワフワしてるし、脳が働かないの、何も準備しないでスタートして、自分でも何しゃべってるかわからないんだもん。もうひどいのひと言。飲んで寝て、起きたてだから、顔もパンパンにむくんでたんじゃないかな。これもまたひどいね。

で、21時に撤収して、まだ2人のトークを撮ってないじゃん、さぁどこでやろうってことになって。もう暗いし場所がないわけよ。店内だと撮影できなさそうだし。そもそもオレが遅刻したのが悪いんだけど。で、歩きまわって決めた場所が、駅前の神社。ちょっと明かりがあるし、ひと気はない、よしここだってことになって、立ち話。

トークも無事終了して、じゃお疲れ様、帰りましょうかってなって。でもオレ6時間たっぷり寝てるし、元気なわけ。今さっき来たばっかりだし、すげーしゃべりたいわけ。皆は演奏して疲れてるから帰りたがってたけど、せめて、デジカメで撮った演奏を聞かせてくれと。だってオレ演奏何にも聞いてないんだよ。マックで聞かせてくれよって言ってね、中西はコープが閉まる前に帰らなきゃって、トイレットペーパー買わないともうないんですよ、だって。一目散で逃げてったよ。でね、マック行ったら「22時半で終りです」って言われて、時計みたら22時。30分しかないわけよ。オレは一時間はしゃべりたかったから、他行こうと言って、今度はミスタードーナツいったら23時まで、よしと思ったら、満席。他にお茶するとこが全然なくて、しゃーない、マックしかないって、戻って時計みたら22時15分、もうオレ15分で妥協したもん、2人は喜んでたけど。

それでマック入って、デジカメで演奏見せてもらって、元田からその時聞いたんだけど、結構演奏大変で、何度も撮りなおしたみたい。難しい曲を選んだって、ハードル上げすぎちゃったって言ってたから。ショパンの「革命」って曲。普通コンクールとかで選ぶ曲らしいの。ロシア軍がポーランドを占領しそれに憤慨してる様子が込められている曲。そんな気持ちで元田が弾いてるから、憤慨してる表情になってて怖い。しかも遅刻したオレにも憤慨してたからちょうど良かったって言ってた、さすが女優と思ったね。




※最後に、元田に色々とインタビューして、動画でカットになった部分、そしてさらには、カットになっていない部分まで紹介しよう。


たまる「好きな音楽家は誰ですか?」
元田「プッチーニ、ドビュッシー(情緒感溢れる作曲家が好き)」


たまる「ピアノは何歳ぐらいまでできるの?寿命とかある?」
元田「指が動けば80〜90才位まで弾きたい、指先は大脳に繋がってるからボケ防止にもなる」


たまる「何級とか段とかあるか」
元田「ヤマハのグレード1〜13級(ピアノ以外にエレクトーン、クラシックギター、ドラムなどもある)」


たまる「どんなコンクールがあるか?どうしたら一番になれる?」
元田「1番大きいのはワルシャワで5年に一回開かれるショパン国際ピアノコンクール、ピアニスト目指す人の最高の登竜門(日本人の優勝者まだなし)。バレエとかと一緒で、やる気だけではダメ、持って生まれた【手】や【耳】がいい人が努力と才能を出し尽くし勝ち取るのでしょうね」


たまる「どんなトレーニングが必要か?」
元田「正しい練習方で毎日、技術、技術、心は一番あとに入れる。天然工房のリズムで創る芝居と似てる」


たまる「故障やけがは?」
元田「けんしょう炎(弾きすぎで手首を痛める病気、重いフライパンばっかり持つ料理人なんかもなるらしい)」


たまる「ピアノの人口ってどれくらい?」
元田「日本では5人に一人くらいの割合でやってると思う。」


たまる「始める人はまず何をそろえればいいの?」
元田「安い中古でよいから生ピアノもしくは電子ピアノ」


たまる「どこから始めたらいい?」
元田「譜面の読み方、爪を切ってネイルアートは諦めて」


たまる「ピアノの先生になって稼げばいいんじゃない?」
元田「昔、子どもや幼稚園の先生に教えてたこともあるけど、生徒持ったら発表会を開くことは必須、忙しくて劇団との両立は無理」


たまる「ピアノをはじめたきっかけを教えて」
元田「近所に先生がいてお友達も皆一緒に習い始めた。でもクラシックさぼってポップスばっかり弾いていた」


たまる「はじめて何年目か?」
元田「ブランクたくさんありだけど、4才からだから一応36年目」


たまる「なぜピアノという楽器を選んだか?」
元田「音色が心地いい、生きている実感が持てる」


たまる「ジャズや色々ある中で、なぜクラシックを選んだか?」
元田「技術を習得したかった」


たまる「ピアノを弾くのに道具は何をそろえるか?なぜ音楽から役者の道へ?」
元田「音楽のストーリーの中のドラマ性を掘り下げてみたくなった、オペラの先生に役者に向いてるんじゃないかとアドバイスされた。」


たまる「家のピアノはヤマハって聞いたけど、なぜそのメーカーを選んだ?」
元田「ヤマハのアップライト、グランドピアノがそりゃほしいけど…。」


たまる「ケア用品てどんなのがあるの?」
元田「年に一回の調律(プロの方に)、手にはハンドクリーム」


たまる「最後に何のため弾くのか?」
元田「今は自分の楽しみ、癒しのため」


(おしまい)

いかがでしたでしょうか。
他の動画も観てみてくださいねっ!

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